設立趣旨

日本香文化学会は、日本と中国の香文化を専門に扱う研究誌『香文化録』

を発行致しております。

 

我が国の香文化は中国大陸、半島から伝来、受容した文化を独自発展させ、

現在に至るまで脈々と継承し続けてきた文化です。

 

日本の香文化に対しては静かに研究が進んでいますが、そのルーツ・伝来

に対する研究は途上にあります。香文化の全体像を把握するためには

ルーツ・伝来の研究は必至であり、日本の独自発展をさらに深く理解する

要ともなります。そのためには「和漢」をつなげての香文化研究が望まれます。

中国にとってはかつての文化の実態を知る鍵となるでしょう。

 

香麗志安 和漢香文化研究所がまさに今、研究に取り組んでおりますが、

香文化全般の専門的な学会、学術誌が存在しないため、発表する機会は

限られています。他の方からもそのような学会、発表の場を望む声を

頂いています。

 

中国に目を向けてみれば、一度衰退してしまった香文化を取り戻すべく、

ここ数年でめざましい発展を遂げています。

日本の香道との文化交流を経て、

民間のお香手作り教室等の盛況に続き、たとえば、

2014年夏には北京の中国民俗学会内に中国香文化研究センターの設立、

2015年春には北京中医薬大学国学院内に香文化専門の学科も設立されています。

 

2010年、中国で香に関する取材を行った際は、香の知名度が低く、

取材もままならなかったのですが、2014年には北京の有名雑誌

『三聯生活周刊』814号で「香之道」という特集まで組まれるようになり

ました。中国、台湾、日本の香道、香会社に並んで、私は香文化の

研究者として取材を受け、そのインタビュー記事が掲載されました。

 

その前号の特集は「茶之道」。 

近年、中国では日本の文化に並々ならぬ興味を持ち、

さらに自国の文化を再興、発展させようとしている最中なのです。

 

2014年、台湾での香文化取材中、茶館での香の講座に出席した際、

中国の専門家によるご講演もあり、中台の香文化交流の隆盛を

目の当たりに致しました。

さらに、2015年、中国の香文化調査において、この2,3年での

急速な発展の様子、背景を取材することができました。

 

このような状況をかんがみ、まずは仮にでも

香麗志安 和漢香文化研究所内に日本香文化学会を立ち上げ、

日本と中国の香文化を専門的に取り扱う研究誌『香文化録』を

発行することに致しました。

 

また、当雑誌は日本の知られざる香文化、もっと深めるべき分野の

研究も取り上げていきます。興味深い研究をされている専門家の

先生方にぜひ発表して頂く場としていきたいと考えています。

 

                 平成27年10月吉日

                 香麗志安 和漢香文化研究所主宰 

                 日本香文化学会 代表                 

                 千葉光柏